2008.06.30

シアターめぐりの記(春から目白押し。とりあえず一段落つきました 3~4月編)

3月21日(金)

六本木・俳優座劇場にて、劇団銅鑼公演「はい、奥田製作所。」
東京・蒲田の町工場を舞台に繰り広げられる、笑いあり涙ありのすったもんだのストーリー。どたばた劇で楽しいが、根っこに、今の日本で、中小企業がおかれている厳しい状況や、経営者の苦悩といった重たいものがちゃんと描かれていて、私も実際にそういう人たちの姿を近くで見てきたので、現実に照らし合わせて胸が詰まる思いがした。この町工場の社長を演じていたのが、鈴木瑞穂さん。ときどきテレビでお見かけするが、悪代官様のイメージしかない。でも今回のお芝居では、ガンコ一徹だけど、あったかい、人情味あふれるオヤジさんをひょうひょうと演じていた。いぶし銀の演技。

3月22日(土)

新橋演舞場にて、スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」
うわさには聞いていたがすごい。なぜに「スーパー」なのかよくわかった。猿之助バンザイ。歌舞伎と京劇と現代劇をごちゃまぜにしたような感じだ。徹底的にエンターテイメントにこだわっている。まず、ストーリーが明快でわかりやすい。かといって、決して軽々しいわけではなく、人間哲学的なテーマがちゃんとあるようだ。今回のお話では、武勇に恵まれ、人格的にも大変優れたヤマトタケルが、あることで思わずおごりの心を覗かせてしまい、そのスキをまんまと敵につかれ、結局は命を早めてしまうことになる。どんな立派な人格者でも、ふと気を緩めてしまえば、肝心なときに慢心してしまうものなのだ。人間、調子の良いときこそ謙虚にならなければならない。ふむふむ。そんな戒めめいたものに感心しながら、豪華絢爛な衣装や美術、マジックショーさながらの演出、ド迫力の歌やダンス、中国雑技団かいと思ってたら、どうやらほんとにそうだったらしいものすごいアクロバットに、目も耳も心も奪われる。主役のヤマトタケルを演じた市川段治郎さんは、五月人形がそのまま動き回っているかのような、長身で端正な役者さん。市川春猿さんの美しさは格別で、後光が射しているかのような、ものすごい華を放っていた。市川右近さんが出てきたときには、思わず「サルサ離婚」とかいう、わけわかんない離婚してたことを思い出してしまい、吹きだしそうになってしまった。今はまたお幸せなようだ。よかった。

4月5日(土)

帝国劇場「ラ・マンチャの男」
ミュージカルにしてはめずらしく、ストーリーが少々、難解。上演時間も、休憩なしの2時間ぐらいと短め。言わずとしれた、松本幸四郎、松たか子の親子共演もの。松たか子は意外と歌えるので、驚いた。彼女はアルドンサという、気の強い、はすっぱな感じの酒場の女を演じていたが、カーテンコールでもそのキャラクターをひきずっていて、荒々しいおじぎを繰り返すので、なんだかそれが少し可笑しかった。一方、お父上は、客席の隅々まで見渡し、ゆっくりゆっくり、何度もおじぎをしていた。さすがの余裕。しかし、歌舞伎役者でありながら、こういった洋物のミュージカルもなんなくこなすのだから、素晴らしいと思う。

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2008.01.15

シアターめぐりの記(2008年新春編)

1月12日(土)

日本橋・三越劇場にて、劇団新派新春公演「新玉の寿」「女将」。新派120周年記念公演。
私の趣味も、ついにここまできたかという感じ。
初めて訪れたが、クラシカルな洋館風の内装が素敵な、こじんまりとした劇場だ。小さなロビーにはたくさんのお祝い花がところせましと並び、胡蝶蘭のいい香りが漂っていた。

今回の観劇の目的は、英 太郎さんという新派唯一の女形の役者さん。一緒に行ったいとこが、以前、この英さんの一人芝居を見てえらい気に入ったらしく、私にも一度ぜひ見てほしいというので、今回、この公演を見る運びになった。しかし、うちのいとこ、人に薦めときながら、最初の「新玉の寿」という、劇団の看板役者の方々による日本舞踊の披露の部分では、となりで、かなりの勢いで舟を漕ぎまくっていた。そして「どうしよう。水谷八重子に叱られる!」とあせっていた。大丈夫。叱られない。

実をいうと、新派など、私のような若造にはまだまだ早すぎるものだとばかり思って、そんなに期待もせずに出かけたのだが、それはとんでもない勘違いだった。かなり親しみやすいお芝居だった。下手にこむずかしい芝居を見て、頭を悩ますよりずうっといい。今回の「女将」というお芝居は、戦後まもない頃の東京が舞台の、料亭を営むとある家族の姿を描いた、コミカルでほのぼのとしたホームドラマだったが、まず、当時の雰囲気を細部まで表現した舞台美術が素晴らしく、場内から感嘆の声が上がるほどだった。粋で、品の良いセリフ回しや、所作の美しさなどは、見ていてとても清々しい気がした。古き良き時代の日本に触れたいのなら、新派のお芝居を見るのがいちばんいいかもしれない。食わず嫌いは損をする。

ところで、英さんだが、噂どおりの素晴らしい役者さんだった。身も心も女性になりきっているような感じで、男の人だと知らなければ、たぶん最後まで女性だと疑わずに観ていたと思う。男性が女性を演じるときにありがちの、変ないやみみたいなものはいっさいなくて、歌舞伎の女形に通じるような、品のある、演技力もかなりの役者さんだった。ファンも多いらしくて、この日もかなりの声援が上がっていた。

観劇後、かなりお腹がすいていたので、三越近くのイタリアンのお店で食事。何度か行っているが、ここのピザはめちゃめちゃおいしい。さらに、デザートで頼んだティラミスの付け合わせで出てきたキャラメルのジェラートが、「これ、ほんとにこの世の食べ物か?」っていうぐらいまたおいしかった。幸せ。

外に出ると、北国並みの寒い夜。三連休の一日目。良い休日になった。

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2007.10.22

シアターめぐりの記(ひさしぶりに行ってきました編)

10月13日(土)

帝国劇場にて、ミュージカル「イーストウィックの魔女たち」。夏以来の久々の観劇。
同名の映画は、ハリウッドの大スターがこぞって出ていたわりにはチープな作品で、ひとつもおもしろくなかった記憶があるが、ミュージカルは予想以上におもしろかった。視覚的なしかけが満載。音楽もダンスも楽しくて、全く飽きなかった。宙吊りのフライングもあって、主人公の女性3人が客席の上を飛んでいったが、なぜかというかやっぱりというか、そのうちの一人、モリクミだけが低空飛行だった。

ところで、今回もまたまたマルシアが出ていた。別に、マルシア目当てで観に行っているわけではないが、それだけ多くの舞台で活躍なさっているということだろう。ふりむけばヨコハマだったのにね。置いてきぼりだったのにね。(もううるさい)それにしても、今回の彼女は今まで見た舞台の中で一番良かったような気がした。間近で見たら、ほっそりしていて、色っぽくてきれいだった。

しかし、今回、私にとっての一番の目玉は、大浦みずきさんという女優さんだった。恥ずかしながら、今回の舞台で初めて知ったのだが、かつて宝塚のトップだった方なようだ。まさに舞台に立つために生まれてきたというようなダイナミックな容姿をしていて、歌も上手ければ、ダンスも上手い。特に、10センチ近くはあるように見えたハイヒールで、激しいステップを踏みながら踊る姿は圧巻だった。たかが7センチのヒールで腰痛になりかけ、ミスターミニットでヒール切ったるわ!と、靴を逆恨みしているおバカな私にはまるで神技。タカラヅカにはさほど興味なくとも、この人の舞台だったら一度見てみたかったと思った。役柄上、ストーリーの途中で殺されてしまうため、中途までしか演技が見れなかったのが残念だった。日本にも、こんな舞台女優がいたのだと思わせる圧倒的な存在感。今後、注目しようと思う。

10月20日(土)

新宿シアターモリエールに、劇団未来劇場「金魚の口にコルクの栓」を観に行く。

この手の、小劇場の芝居を見ることはめったにない。未来劇場という劇団のことも初めて知ったが、水森亜土さんが所属している劇団らしかった。残念ながら今回の芝居にあどちゃんは出ていなかったが、劇場の入口で、あどちゃんそっくりの格好をした若い女性が、客を誘導していた。

タイトルがタイトルだけに、ある種の覚悟はしていたが、そんな期待を裏切ることなく、フツーの感覚で見てはいけないお話だった。とりあえず子供は見ちゃいけない、大人の芝居。たぶんどうやらミステリー劇。休憩なしの約3時間という長さで、時々、おかしな歌と踊りははさむものの、最初から最後までずっと同じセットで、登場人物同士の長ーい会話のやりとりが中心になって話が進んでいくため、最初の30分ぐらいのところでものすごい睡魔に襲われてしまい、不覚にも(というか、まあいつも)寝てしまった。はっと目が覚めると、新しい登場人物が一人増えていて、「やべっ!さっきまでいなかった爺さまいるよ」とあせったが、寝ていようといまいと、爺さまが出てこようとこまいと、(いや、やっぱり爺さまは出てこなくちゃマズイだろな)長くて難解なセリフの応酬に、途中からもう脳がついていけなくなり、結局物語をうまく把握することはできなかった。

おもしろくないといえば決してそういうわけではなく、かと言って心から楽しめたといえばとってもウソになり、なんだかすっきりしないので、話をちゃんと理解したい気持ちはものすごくあるのだが、じゃあ、もう一度見たいかと言われれば、それを考えただけで軽く食欲が失せる思いがするのだった。どうなのこの感想。

とりあえず、小劇場ものは、しばらくもういい。

でも生のあどちゃんはちょっと見たい。

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2007.07.08

シアターめぐりの記(タカラヅカ潜入編)

7月7日(土)

熱烈な宝塚ファンの方から席をいただくことになり、東京宝塚劇場にて雪組公演「エリザベート」を観劇。

いろいろあって、「またの機会に」と一度はお断りしたのだが、なんでも「ベルばら」に並ぶ、宝塚の中では絶対見逃してはならない作品とのこと。無理しても観た方が良いと強く勧められ、友人を誘い、タカラヅカビギナー同士で緊張しながら出かけることに。

チケットは当日、劇場で受け取るように言われていたが、この引き換えをめぐって思わぬハプニングに遭遇。さっそく「タカラヅカ 華のオキテ」の洗礼を浴びたような気分を味わう。
なんとか小さな危機を乗り切って、開演ギリギリ、真っ暗になった場内をすっころびそうになりながら座席につく。2階席だがなかなか良い席。舞台が良く見える。役者さんたちは、あの独特なメイクのせいか、どの人も同じ顔に見えてしかたない。しかし、身のこなしのきれいさはさすがのものと思う。

ストーリーは展開が速く、あまりに速くて「いつのまにそんなことになったのよ」と、理由がいまいちはっきりしない部分もあったが、マンガのようにわかりやすくて、けっこう飽きない。舞台装置や衣装の豪華さが目をひいた。

フィナーレには、かの有名な「大階段」が登場。長いドレスを着ているにもかかわらず、足元を見ることもなく、真っ直ぐ前向いて、笑いながら階段を駆け下りてきたりするから舌を巻く。最後に、男役トップスターが豪華絢爛、孔雀のようなでっかい羽根をつけて降りてきて、この日一番の歓声が上がった。やっぱりあの羽根衣装をいつの日か自分の背中に背負うことが、タカラジェンヌにとっての夢であり目標であるのかなあと思いながら眺める。

そして、いつものことなのか、たまたまなのか知らないが、カーテンコールがなかった。熱烈なファンたちがいつまでも感動の余韻にひたって、席を立とうとしなくてもよさそうなものだが、幕が降りるやいなやびっくりするほど皆こぞってさっさと退席していく。ひきずらない。その見事なまでの潔い撤収ぶりに驚かされる。きっと暗黙のオキテやルールがいっぱいあるにちがいない。「華麗なる世界」は奥が深そうだ。

終演後、お茶をしながら、友人の、ちょっと目のつけどころの違う、おもしろ寸評に大笑いする。あまり興味がないというのに無理に誘ってしまったが楽しんでくれて良かった。舞台は見るのも楽しいが、その後、お茶なんかしながら、あーたこーだ振り返って笑う、こういう時間がこれまた楽しい。だからまた観に行ってしまう。

今日もいい一日。

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